2011/09/23

大雅・蕪村・玉堂と仙厓 -「笑(わらい)」のこころ


出光美術館で開催中の「大雅・蕪村・玉堂と仙厓 -「笑(わらい)」のこころ」展に行ってきました。

池大雅・与謝蕪村・浦上玉堂といった江戸時代の文人画を代表する絵師に、禅の教えをユーモアをもって描いた仙厓和尚の作品を加え、日本の文人画家たちの自由な創造力の源泉のひとつ「笑(わらい)」を知的に表現した4人の個性に光をあてています。

池大雅「瓢念図」

文人画というと、どうしても唐様趣味的な南画や堅苦しい書画を思い浮かべてしまうのですが、今回の展覧会のテーマが「笑」ということで、自由で軽妙洒脱で、機知に富んだ作品が多く、非常に楽しませてもらいました。

池大雅「十二ヵ月離合山水図屏風(右隻)」(重要文化財)

会場は、それぞれ4人にスポットを当てたコーナーに加え、計6つのパートで構成されています。
    第Ⅰ章 笑いの古典 ―瓢箪ころころ、鯰くねくね
    第Ⅱ章 無邪気な咲(わら)い ―大雅のおおらかさ
    第Ⅲ章 呵呵大笑(かかたいしょう) ―幸せを招く笑い型
    第Ⅳ章 達観した笑い ―玉堂の極み
    第Ⅴ章 知的な嗤(わら)い ―蕪村の余韻
    第Ⅵ章 笑わせてちくり ―仙厓さんの茶目っ気
絵画の傍らには、唐様趣味の皿や茶碗、人形などの焼き物も展示されています。

与謝蕪村「山水図屏風(左隻)」(重要文化財)

大らかで明るい大雅、文学的な詩情漂う蕪村、放浪する人生を選んだ自分を達観するような玉堂、ユーモアたっぷりの仙厓。俗っぽく笑いをとるような作品が並べられているわけではありませんが、なんとも憎めない人々、ユーモラスな光景、洒落、センス、頓知。自由な表現力に魅力は尽きません。それぞれの「笑」の個性に作品を眺めながら自然と笑みがこぼれてしまいます。

浦上玉堂「隻峯挿雲図」(重要文化財)

これまで何度も池大雅や与謝蕪村、また仙厓の展覧会を開き、文人画の特集も組んできた出光美術館ですが、今回は「笑」というくくりで自らの所蔵作品の中から選りすぐりの作品を特集陳列しています。決して目新しい作品があるわけではありませんが、ユニークな視点は新鮮でした。あらためて出光美術館のコレクションのレベルの高さというか、奥の深さに感心します。

仙厓「鬼笑画賛」

最後のコーナーは、ひねりが効き過ぎた文人画の巨匠たちの後には、茶目っ気たっぷりな仙厓で大いに笑ってもらいましょうとばかりに、仙厓の楽しい作品が並べられています。書き損じの失敗作も堂々と一枚の絵にしてしまう仙厓の洒落っ気に思わず笑いそうになってしまいました。出光さんの作戦勝ちです。

仙厓「鯛釣恵比須画賛」

細かく描きこんだ作品も多いので、単眼鏡をお持ちの方は持参されると、より一層楽しめると思います。


【日本の美・発見Ⅴ 大雅・蕪村・玉堂と仙厓 -「笑(わらい)」のこころ】
山種美術館にて


2011年10月23日(日)まで 池大雅 (新潮日本美術文庫)池大雅 (新潮日本美術文庫)









与謝蕪村 (新潮日本美術文庫)与謝蕪村 (新潮日本美術文庫)









日本の南画 (世界美術双書)日本の南画 (世界美術双書)

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